世界経済の動向を探る最重要指標です

投資家は、アメリカのFRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策を重視するのですか?

そうですね。FRBが決定する政策金利の利上げや利下げは、世界中のマネーの流れを根本から変える決定的な影響力を持つため、極めて重視すると思います。
しかし、世界の投資家が、世界経済の動向を探る最重要指標として注目するのは、アメリカの雇用統計です。

それも聞いた事があります。日本にも雇用統計はあると思いますが、違いはあるのですか?

全然違います。アメリカの雇用統計でメインとなる雇用調査は、企業や政府機関を対象とした調査から算出しますが、日本の調査は、ランダムに選ばれた世帯にアンケートを行う「労働力調査」から算出します。
アメリカの雇用調査は、世界的な経済指標で、発表結果によって、FRBの金融政策が大きく左右されると言われていますが、日本の雇用統計は、日本の労働環境を捉える基礎資料であり、日本市場への影響はほとんどありません。

アメリカの雇用統計は、何が分かるのですか?

アメリカ雇用統計は、多くの指標で構成されていますが、市場が注目するのは「非農業部門雇用者数」「失業率」「平均時給」の3つです。
○非農業部門雇用者数は、農業分野以外の産業で働く人の数を示します。民間企業や政府機関に雇用されている人が対象で、自営業者は含まれません。
○失業率は、労働力人口(16歳以上の働く意思を持つ人)のうち、職がなく求職活動をしている人の割合を示す指標です。
○平均時給は、非農業部門の労働者の平均的な時間当たり賃金を示す指標です。
アメリカ雇用統計は、原則として毎月第1金曜日に発表されます。統計結果が市場の事前予想と異なると、FRBの金融政策に対する市場の思惑が変化し、為替や株価が変動する要因となるのです。

投資家は、雇用統計の発表で、何を見るのですか?

発表前に、ブルームバーグやロイターなどが、エコノミストの予想を発表しており、発表時に予想より雇用者数が高ければ、景気が強いと判断され、ドル買い(ドル高・円安)になりやすいのです。
また、平均時給が高ければ、FRBが引き締め的な政策を続ける大義名分となり、金利上昇・ドル高を招きます。
ただし、長期的な視点で資産形成を行う個人投資家は、毎月の数字に過度に反応する必要はなく、数ヶ月から1年といった期間で、雇用市場のトレンドが上向いているのか、あるいは下降局面にあるのかという流れを把握するために活用するのが良いと思います。

では、アメリカ雇用統計を毎月チェックしていれば、株暴落の危機を防げますか?

残念ながら、それは無理です。確かに雇用統計は、世界で最も注目される経済指標ですが、これだけで暴落を予知・回避する事は無理があります。
雇用統計は「遅行指標」と言って、企業の業績や失業率は、悪化し始めた時点では、すでに株価の大幅な下落が始まっていますし、逆に、雇用や業績が良くなっても、金融引き締め長期化等の懸念から、株価が急落する事もあるのです。
ただ、個人投資家として、大まかな経済の傾向は分かりますので、時間に余裕のある方は、月に1度の事ですので、注意しておくのも良いかと思います。

