投資家は「賃上げ」より「平均年間給与」を見る
「春闘で大手企業は満額回答」というニュースが話題になっています。春闘は公務員には関係ないと思うけど、企業の賃金が上がれば、株式市場に影響はあるんですか?
良い質問ですね。これまで日本の企業は、株主還元を優先し、従業員の賃金アップを後回しにしてきました。1980年後半のバブルの頃は、5%から6%近くあった賃上げ率も、2000年を過ぎた当たりから2%を切るようになっていました。それが2023年には3.60%上昇し、2024年はそれ以上になると言われています。
なぜ日本の企業は、株主還元を優先し、従業員の賃金を上げてこなかったんですか?
賃金を上げれば、人件費の増加により「当期純利益」が減る。そうなれば株主に還元する「配当金」が減り、株価が下がる。と考える経営者が多かったのです。勿論、大企業と違い、中小企業にとっては、人件費の増加は重しとなる事に間違いはありません。
ではなぜ、賃上げを行うんですか?大企業はともかくとして、中小企業はそんなに業績が上がってるんですか?
確かに中小企業は、そんなに業績は改善してないと思うけど、賃金を上げざるを得ない「防衛的な賃上げ」が多いと言われています。人手不足の中で、良い人材の確保と離職者の抑止が主な目的ですね。
賃金が上がると株価や配当金に影響はあるんですか?
株価については、上昇するというエコノミストが多いです。簡単に言うと、個人消費の伸びに伴い、経済が良くなり株価は上昇するというもので、家計の投資余力が増加すると言う人もいます。配当金については、2023年の状況を見れば分かりますが、「配当性向」や「最低配当額」を示す企業が増加した事により、賃上げによる株主還元への影響はほとんど無かったと言えます。大企業に続き、中小企業が業績好調になって賃上げが進めば、今後、更なる株高や株主還元が上昇すると思います。
個人投資家は、賃上げより、企業の平均年収を参考にする人が多いと思います。5大商社は、いずれも平均年齢が42~43歳で年収1,500万円前後はありますし、日本にも30歳代で2,000万円を超える企業もあります。当然、年収の良い企業は、優秀な人材が集まりますし、社員の仕事に対するモチベーションも高いと思います。投資家としては、そういった企業に投資し、恩恵を頂きたいという気持ちが強くなるのは当然の事です。有価証券報告書の従業員状況欄で、「平均年間給与」を公表していますので、管理人はチェックするようにしています。