証券会社の配当利回りで飛びつかない
①初心者に多い失敗
個人投資家の中には、証券会社が提供する配当利回りや、高配当銘柄でスクリーニングしたデータに基づき、「高配当株」だと判断する人がいます。確かに良い銘柄が多いのは事実ですが、いつの間にか株価が下落したり、配当利回りが下がる銘柄も多々あります。特に初心者は、証券会社の投資指標の配当利回りや1株配当金だけを見て、「高配当株」だと判断して購入し、失敗する人が多いのです。実は管理人も、初心者の頃はそうした失敗を多々経験してきました。
②証券会社のデータに間違いはないが
証券会社の「配当利回り」や「1株配当金」、スクリーニングのデータは、企業が開示する決算短信等を基に公表しており、間違いではありません。問題なのは、「予想」だと言う事です。予想配当金とは、上場企業が来期配当の「予想額」を、決算短信で「配当の状況」として、前期、当期の配当実績と合わせて記載します。証券会社は、その「予想額」を投資指標に「予想1株配当金」として反映させ、現在の株価から「予想配当利回り」を出すのです。ですから、初心者に多いのが、「配当利回りが高い銘柄を購入したのに、実際の配当金は低かった。」と言うものです。予想配当利回りはあくまで予想ですから、注意する事が大切です。
③株主総会と配当予想
配当金は、本来「株主総会の決議」で決定するのが会社法で定められたルールです。ただし、中間配当については、定款で「取締役会の決議によって剰余金の配当を行う」事を定めれば、事業年度の途中で行うことができます。では、取締役会等で来期の配当見込み額を予想し、これを「配当予想額」として発表して良いのでしょうか?詳細は分かりませんが、「あくまで予想」と言う事で、問題にならないようです。しかし、配当予想は投資家の心理を大きく左右する重要な事項です。企業には、安易に「配当予想」や「業績予想の修正」を出さないよう心がかけて頂き、個人投資家も、予想利回りだけで飛びつかず、企業の成長力や継続性をよく観察する事が大切です。