インフレ時、株を売買しますか?

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インフレに強い銘柄

 昨年から物価の上昇が続き、インフレ傾向にあると思いますが、何か対策はした方が良いのでしょうか。

 長年、デフレ状況に慣れてきた日本人にとって、インフレ環境は久しぶりになります。コロナ以降、世界的なインフレショックの中で、日本のインフレ率はゼロを上回って推移しており、物価は上昇傾向にあります。
 総務省の発表によると、23年の1年間で消費者物価指数は、平均3.1%以上増加しており、24年も、当面インフレ傾向が続くと考えられます。

 物価が上昇すれば、お金の価値が下がると言われていますが、具体的にはどんな感じなんですか?

 物価上昇率が高くなるほど、お金の価値は低下します。仮に物価上昇率3%で30年間続いた場合、1,000万円の価値は、現在の400万円程度になります。お金の価値が半分以上も減ってしまうのです。
 ですから、インフレ時には、ほとんど利息がつかない預貯金でお金を預けていても、お金の価値はどんどん目減りする事になります。

 インフレの時にお金の目減りを防ぐには、物価上昇率以上にお金を増やす事が必要と言う事ですね。では、株式投資は大丈夫なんですか?

 実は、インフレには「良いインフレ」と「悪いインフレ」があります。
 「良いインフレ」は、企業の利益が増え、消費行動の拡大が景気に好循環をもたらします。いわゆる需要拡大によるインフレです。
 「悪いインフレ」は、販売価格上昇の前に原材料費や人件費が上がり、利益拡大が企業のコストの増加に追い付かず、景気悪化を招きます。
 「良いインフレ」には、株式投資が良いと言われています。商品の値段が上がり、企業は収益を上げやすくなり、株価が上がります。
 しかし、現在のインフレは、「悪いインフレ」と言われており、原材料の高騰によるコスト増で、増益につながらない企業も少なくないのです。

では、どのような銘柄を持っていれば良いのですか?

 一般的には、業績が好調な「好業績株」が良いと言われています。市場が全体的に悪くても、本業で売り上げや利益を出している企業は、市場全体が下落する時にも値下がりの度合いが少なく、再び上昇する時にもいち早く値上がりする事が期待できるのです。
 また、過去の統計から、鉱業や石油関係も物価上昇時には良いと言われています。保有している資源や在庫の評価益が高まることで、株高が期待されるのです。

逆に、値下がりする業種はどのようなものですか?

 電機機器やサービス業と言われています。
 物価が上がると、製品の製造コストが上がります。しかし、これをすぐに製品の価格に転嫁する事が難しく、費用が増えるのです。
 だからと言って、製品価格を上げれば、消費者の買い控えにつながり、売り上げが落ち込み株価が下落するのです。

では、今後のインフレに備え、これらの業種の株を売買した方が良いのですか?

 インフレになると、「株式や不動産への投資を行うべき」とか「金を買うべき」、「ドル預金やドル債を買うべき」などとネットに書き込みが出まわりますが、株式投資を行っている個人投資家は、過剰な反応をする必要は無いと思っています。
 別に、正常性バイアスが働いている訳ではありませんが、下手にネット情報に振り回され、つまらない商品を購入する必要は無いと言う事です。

では、株を保有している個人投資家は、何もしなくて良いんですか?

 はっきり言って、そう思っています。
 金融業界は、あれこれアピールすると思いますが、個人投資家としては、この程度のインフレでは、保有する株価が短期的に下落しても、長期保有の原則を貫き、持ち続けるのが一番だと思っています。