新NISA、シニアも結構やってます

新NISAの利用状況がニュースになっていました。ドラゴンさんはどのような感想ですか?

日本証券業協会が発表した、「新NISA開始1年後の利用動向に関する調査結果」の事ですね。
マスコミは、「平均購入額」にスポットを当てていますが、この調査項目は多岐に渡っていて、とても興味深いと思いました。

そうなんですね。私も平均購入額しか見ませんでしたが、新聞記事には「積立投資枠が47万円」「成長投資枠が103万円」と書いていました。

そうですね。これだけを見ると、意外に少ないなと思いましたが、これには理由があります。
まず、「新NISA利用者の年収」ですが、300万円未満が約40%と最も多く、続いて300万~500万未満が約28%となっており、しかも新NISAの購入資金が「預金・給与所得・年金」が約75%と、生活費からの支出が多い事が要因と思われます。

他に意外だったのが、2024年の日経平均株価は、過去最高値を更新後、過去最大の下落幅を記録するなど大波乱でしたが、一銘柄も売却しなかった人が、積立投資枠では83%、成長投資枠でも75%を占めており、多くの人が、中長期の視点で投資している事が分かります。

多くの人が売却していないと言う事は、損益は出ていないと言う事でしょうね。

昨年の運用結果で「プラス」と答えた人は、積立投資枠で83%、成長投資枠で70%でした。投資の原則である「長期」を理解している人が増加していると言う事かも知れません。この調子で資産を増やして貰いたいと思います。

成長投資枠は、国内株式が49%と最も多く、投資信託の日本を含む全世界株式(インデックス型)が13%となっています。 成長投資枠は、もっと国内株式の割合が高いと思っていましたが、少し意外でした。
ちなみに、積立投資枠については予想通り、日本を含む全世界株式(インデックス型)が37%と多く、日本を含まない全世界株式(インデックス型)も19%となっています。

今回の調査結果で、気になった事はありますか?

「新NISAの目的」の調査項目で、70歳代で最も多かったのが、「老後の生活資金」が男女とも50%近くありました。しかも70歳代で「積立投資枠」を始めた人は、男性44%、女性は54%です。
おそらく成長投資枠にも投資しているとは思いますし、人生100年時代ですから、70歳代から積立投資をしてもおかしくはないのですが、少し違和感がありました。 しかしその原因が分かりました。
NTT DaTaの調査で「新NISA開始時期のNISA口座開設金融機関」は
①農協:30.5% ②地元銀行:27.9%
③ゆうちょ銀行:27.8% ④信金等:25.3%
⑤メガバンク:24.4% ⑥ネット証券:22.4%
⑦証券会社(ネット証券以外):11.2%
となっていました。 ネット証券が少ないのは、旧NISAにより、既に口座開設が進んでいたからだと言われています。
ちなみに、金融庁のデータによると、70歳以上のNISA口座開設数(2024年3月)は、約415万5千口座、NISA買付額は、1兆1453億5174万円と言う事です。(旧NISAも含む)
シニアが新NISAを始めるに当たり、参考にしたのが「金融機関担当者からの説明」が多いと言われています。
おそらくお金持ちの70歳以上のシニアは、金融機関担当者にとっては「良いカモ」になったのかも知れません。