過去最多のペース

自社株買いが倍増しているとニュースで見ました。自社株買いは、なぜ行うんですか?

自社株買いとは、企業が発行した株式を、自らの資金で市場から買い戻す事です。
配当と並び、企業が株主へ利益を還元する手段の一つです。

配当が株主還元というのはよく分かるのですが、どうして自社株買いが株主還元になるのですか?

市場から自社株を大量に購入する事で、発行済み株式数が減り、結果的に1株あたりの価値が高まるのです。

この所の自社株買いの増加はなぜですか?

理由はいくつかありますが、多いのは「株主への利益還元」です。日本企業は欧米と比べ、資本効率や収益性、株価の低さが問題視されていた事から、これを脱却するため、東京証券取引所は2023年に「PBR(株価純資産倍率)の改善など、資本コストや株価を意識した経営」を企業に要請しました。 この要請を受けて、2024年から自社株買いが増加したのです。
自社株買いは、純資産が減少し、PBRが上昇して株価向上策になると言われていますが、株価が上昇しなければ、PBRは必ずしも上昇しない事から、「PBRの上昇」だけにスポットを当てるのは、少し無理があると思います。
また、株主への利益還元については、「物言う株主の圧力」が強まっている事も大いに関係しています。

株主への利益還元以外の理由は、どのようなものがありますか?

経営戦略として考えられるのは、「敵対的買収への対抗策」であったり、「ストックオプション対策」だと思いますが、やはり一番の目的は、「投資家からの信頼を得る」事だろうと思います。

では、自社株買いにデメリットはありますか?

自社株買いのデメリットは、企業の資金繰りが悪化すれば、株価が下落する事です。自社株買いは、企業の現預金と自己資本の減少を伴う事から、資金繰りや資金借入条件の悪化のリスクが高まるようであれば、自社株買いが株価下落につながる可能性があるのです。
また、企業の資金が減少する事により、成長投資の機会が奪われる事も挙げられます。 自社株買いは「短期的な企業戦略」と言えますが、「中長期の成長戦略」に不安を残す可能性もあるのです。

2025年の自社株買いは多いと聞きましたが、どの位あるのですか?

2025年1月から7月に自社株買いを行った上場企業数は、963社で前年同期比で約2割増。実施額は37%増の10兆5千億円と言う事です。
例えば、ホンダは7,930億円、リクルートHDは5,341億円、三菱UFJグループは4,292億円と言われています。

企業が自社株買いをすれば、ドラゴンさんは株の購入に、何か影響しますか?

管理人は、企業の自社株買いを理由に、株を売買した事はありませんし、これからも無いと思います。
前述したホンダや三菱UFJなど、既に保有している企業の多くが自社株買いをしていますが、株価や配当金の推移を見る程度です。
中級者までの個人投資家であれば、自社株買いのニュースで株の売買を考える必要は無いかと思います。