個人投資家の技量の差

配当金生活
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見切り千両、損切り万両

配当金生活の投資家は、「株は長期保有が原則」と言いますが、株価が下がっても、損切りをせずに長期保有するのが原則なんですか?

株取引では、難しい判断の一つであり、投資家の技量が問われる場面ですね。確かに株取引は、「長期保有」が原則です。管理人の後輩公務員のように、含み益が出るとすぐに売却してしまうのは、如何なものかと思っていますが、あまり「長期保有」にこだわりすぎると、良くない事もあります。いわゆる「塩漬け」にしてしまう可能性があるのです。

「塩漬け」とは、どう言う事ですか?そもそも、「塩漬け」は悪い事なんですか?

 塩漬けとは、株価が下がっても売却して損切りせず、そのまま放置する事を言います。塩漬けは、絶対にダメかと言うと、必ずしもそうとは言い切れません。
 現在は、株価が右肩下がりの銘柄でも、近い将来、再び株価上昇が見込める場合があります。また、株価が下落しても、配当金があまり下がっていない場合は、株価が戻るまで待つ事もあります。あと、取得単価が低くて保有量も少なく、含み損が少ない場合、株主優待を手放したくない銘柄は、損切りしない事もあります。

でも、塩漬けは、当然デメリットもあるんですよね?

 塩漬けはデメリットの方が大きいです。そもそも、損切りの判断を迫られている時点で、その銘柄は「今後も含み損を増やし続ける可能性が高い」という事です。将来的にも株価は戻らず、含み損がふくらみ続ける事が多いです。
 また、新たな投資機会を失います。株価が下がっていても、損切りすれば現金がいくらか手に入り、その資金で別の銘柄を買う事ができますが、塩漬けにしていれば、成長する銘柄を買う機会を失う事になるのです。

ドラゴンさんは、塩漬けにして失敗した経験は無いんですか?

 実は、リーマンショック(2008年)後に投資信託をしていた頃、塩漬けにして失敗した事があります。現在のネット証券は、2000年頃に株式売買委託手数料が、完全自由化してから始まりました。管理人が投資信託をしていた頃は、仕事が忙しく、投資信託は金融機関に任せていた事から、現在のように、すぐに解約は出来ない状態でした。
 投資信託で塩漬けにすると、評価額は下がる一方で、今より高かった信託報酬はきっちり取られており、解約するタイミングを失っていたのです。当時の投資信託は、1度元本を割ったら、まず資産は回復しないと言われていました。
 管理人の場合は、欧米の商品で利益が出ていたので、トータルでのダメージは受けませんでしたが、投資信託の塩漬けは注意した方が良いです。

ドラゴンさんでも、痛い思いをした事があるんですね。では「長期保有」か「損切り」か「塩漬け」の判断は、どのようにするんですか?

 投資には「どんな時でも絶対に正しい方法」というものはありません。また、株価だけでなく、社会全体がどう動くかによっても、選択肢は変わってきます。
 ベテランほど、自分の失敗を認めたくないという心理が働くため、売却を怖がり、「いつかは上がるはず」という根拠のない願望にすがる傾向にあります。
 管理人の経験から、下がった株価は、そのまま下がり続けるか、下がった株価で落ち着いてしまう場合が多いです。また、損切りのタイミングは、下落の理由、株価、今後の見通しなどを考慮しますが、管理人は、概ね10%を損切りラインとしています。
 「見切り千両、損切り万両」という格言があります。「素早く見切りをつけて、損失を確定する勇気は、のちに値千金の利益を生む。」という意味です。個人投資家の技量の差は、割安な優良銘柄を見極める能力の差は当然として、「損切りの判断力」と「損切りに踏み切る速さ」にあるのかも知れません。