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個人投資家の離婚、大丈夫ですか

①熟年離婚
 管理人は、現職時代に扱った職員の離婚問題は多くあり、裁判になった事案もありました。また、定年退職を期に離婚した職員もいました。 
 厚生労働省の統計によると、2022年に離婚した夫婦は、同居期間が5年未満の離婚の割合が最も多い(30%)のですが、件数や割合は年々減ってきています。ところが、同居期間が20年以上の「熟年離婚」の割合は23.5%に上り、過去最高になっており、今後も増加すると思われます。
 若者の離婚件数は、人口減などで婚姻数が減っている関係で年々減少していますが、熟年離婚は、高齢化により「夫婦の老後」が長くなり、人生を再設計するケースが増えているとの事です。

②財産分与
 裁判所で調停委員をしている知人の話では、若者の離婚は親権で揉めますが、熟年離婚の場合は、財産分与との事です。婚姻期間が長ければ長いほど分ける財産が多くなり、年金や退職金も財産に含まれる関係でややこしくなります。おまけに夫婦の収入が減少傾向にあり、離婚後の生活を考えると、余計に揉めやすくなります。
 そもそも財産分与とは、「婚姻期間中に夫婦が共に築いた財産を離婚時に分割する制度」の事を言います。専業主婦で仕事をしていなくても、結婚期間中の収入は仕事をする相手を支えたことで得られたものと見なされるため、「共有財産」となりす。
 原則として財産分与の対象となる財産は「婚姻期間中に夫婦が協力して取得した財産」です。

③財産分与の対象とならない財産
 財産の中には、分与の対象にならない財産があります。夫と妻のどちらか片方の財産と見なされる財産で、「特有財産」と言います。大きく分けると、「婚姻前から有する財産」と「婚姻中、自己の名で得た財産」があります。
 「婚姻前から有する財産」は、婚姻前から有する現金・預貯金や、婚姻前から自分の名義となっていた実家の不動産などであり、「婚姻中、自己の名で得た財産」とは、婚姻中に親から相続や贈与を受けた財産、婚姻前から有していた財産を原資として得た財産などがあります。ですから「夫婦の協力とは無関係に取得した財産」は、分与の対象にはなりません。

④株式の財産分与
 「婚姻中に夫婦が株式を取得した場合」、株式の名義は夫婦の一方である事が多いですが、名義が夫、妻のどちらであったとしても、財産分与の対象となります。
 ただし例外があり、個人名義ではなく、会社名義の株式である場合は、会社は個人とは「別人格」であり、婚姻関係の当事者ではありませんから、会社名義の株式は会社の財産になり、財産分与の対象にはなりません。
 しかし、「株式を購入したのが婚姻前であった」場合、当該株式は特有財産になるので、運用利益が数億円生じていても、特有財産の延長として財産分与の対象には含まれません。ただ、専業的なデイトレーダーとして運用利益を上げていた場合、配偶者が家事を分担するなど、協力があって利益を上げる事が出来たと言えれば、株式の運用利益も財産分与の対象に含まれると考えられます。

管理人の場合
 管理人方は、お互いの資産と共有財産とを明確にしており、お互いの財布については干渉しません(家族で財布を分ける)。しかし、管理人が投資を始めたきっかけが、単身赴任(貯金ゼロから資産1億円)でしたので、たとえ管理人の投資資産が「へそくり」であり、好きに使う事が出来ても、夫婦の共有財産となります。
 ただ、管理人も妻も親から引き継いだ資産があり、それは特有財産となります。ちなみに、お互いに資産がいくらあるのか知りませんが、現在の所、夫婦仲は円満であり、離婚の危機は無いと思われますので、お互いの金融資産が共有財産や特有財産であっても、あまり関係はありません。