70歳を過ぎてもお金が使えない
①高齢者はお金が使えない
内閣府の「令和6年度経済財政白書」では、85歳を過ぎても金融資産があまり減っておらず、貯めてきた老後資産が使われずに保有されている傾向があると報告されています。
生命保険は、満期解約により60歳から大きく減少していますが、退職金を定期預金に預けていることがよく分かります。また、定期預金、流動性預金、有価証券とも70歳以降の減少はほとんど無く、老後の為に貯めたお金は、ほとんど使われていない事が分かります。(下図)
②金融資産が取り崩されない原因
内閣府は、高齢者が金融資産を取り崩さない背景として、「長生きリスク」と「遺産への備え」をあげており、更に「消費は、公的年金や勤労等の所得の範囲で賄っている」としています。
確かに人生100年時代となり、男性の4分の1、女性の半数が90歳以上まで生きるようになっている状況において、長生きリスクがより強く意識されている事が言われています。
では、長生きリスクとは何でしょうか? おそらく、病気やケガで入院した場合の医療費を心配しているのだと思います。確かに、「投資家の高額医療費」に書いていますが、保険診療外の治療を受けると、結構かかります。しかし、保険適用の治療範囲であれば、所得により違いはありますが、「高額療養費の自己負担額」は決まっていますので、よくシミュレーションしておく事も大事かと思います。
また、遺産を子孫に残そうという高齢者は約12%程度であり、お金を使えない高齢者の口実のような気がしています。
「資産をゼロにして死ぬ」ではありませんが、実は資産を使い切りたいと思っている高齢者は、約34%と多く、これも本の影響かなと思っています。
③高齢者の資産保有額
60歳で資産が大きく増加するのは、退職金の関係です。資産保有額のピークは60~64歳ですが、その後は、年齢が高まっても、資産額は大きくは減少しません。60~64 歳の平均保有資産は1,800 万円強、85歳以上では1,500万円強であり、その間の資産低下は1割台半ば程度にとどまっています。
中央値の場合には、資産保有額の水準が全体的に低下しますが、60~64歳までは年齢が上がるごとに資産が増加し、以降は年齢が上がっても資産の取崩しがほとんど進まないという点は、平均値と共通しています。
④老後は資産を有効に使い、潤いのある生活を送りましょう
せっかく貯めたお金を減らさないようにするだけでは、潤いのある充実した老後とは言えません。お金はあくまでも人生を豊かにするツールです。
確かにお金持ちは、資産が減るこ事を嫌います。これは管理人もある程度は理解できますが、管理人は妻や子供に「資産は必要限度しか残さない」と宣言しており、近年は少し贅沢な旅行を楽しんでいます。旅先で観光地を巡り、美味しい物を食べ、快適なホテルに泊まり、スカイラウンジで夜景を見ながらカクテルを楽しみ、子供や孫達の土産の買い物を楽しむ。
少し贅沢だなと感じる時もありますが、このために定年まで真面目に仕事をし、投資をコツコツとやってきた成果であり、これが配当金生活者の醍醐味だと思っています。
個人投資家の皆さんも、年金と配当金で日々の生活を楽しみ、徐々に金融資産を使いながら潤いがあるセカンドライフを過ごせば、快適な老後が待っています。