甘いものではありません
①働く高齢者の増加
定年を延長する企業が増加し、総務省によると2023年の65歳以上の就業者数は、前年比で2万人増の914万人であり、20年連続で増加して過去最多を更新したとの事です。
65歳以上の高齢者の就業率は25.2%で、65〜69歳に限れば、52%と2人に1人が働いている事になります。
②高齢者の平均給与
定年退職後となる60歳~69歳の給与は、平均どれ位でしょうか。厚労省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、平均が
60歳~64歳:423.9万円 65歳~69歳:344.2万円 となっています。
ただし、この調査結果は、企業規模10人以上のフルタイム勤務者であり、時短勤務者は含まれていない事から、定年退職後の再雇用などの平均値は、これよりも下回ります。
実際の所、60歳や65歳で定年退職したあとは、フルタイムではなく、パートやアルバイトで働くという人が多くいます。高齢者の就業形態は、パートやアルバイトで働く人が52%と最も高く、半数以上を占めています。
例えば、時給1,000円で週3日の8時間勤務であれば、月96時間の労働で年収は115万2千円(額面)になります。
③同一労働、同一賃金
同一労働同一賃金は、雇用形態にかかわらず、同じ仕事をする労働者は同じ賃金を得るという原則であり、正社員と非正規社員の不当な待遇格差を解消することを目的として、大企業は2020年、中小企業は2021年から適用されています。 では、定年後の再雇用であれば、同一労働同一賃金の原則に基づき、業務内容が同じであれば同等の報酬を受け取れるのでしょうか?
残念ながら、合理的な理由があれば待遇の差が認められています。合理的な理由としては、「年金を受給している」「加齢による判断力や業務内容の低下」などであり、定年後の再雇用の場合、同一賃金にならないのが現実です。
公務員も含め、大企業などの役職に就き、多くの給料を貰っていた人も、退職後の再雇用になると大きく手取りが下がる事になります。「現職時代の給料=あなたの能力」ではありません。退職して始めて、肩書きで多くの給料を貰っていたことが分かります。