定年延長と継続雇用は違います
公務員の定年延長も始まり、大手企業が70歳まで継続雇用を引き上げる事が話題になっていますが、70歳まで定年が延びると、シニア投資家も有難いですよね。
そうですね。「高年齢者雇用安定法」が改正され、令和3年4月からシニアの雇用に関しては、
○65歳までの雇用確保(義務)
○70歳までの就業確保(努力義務)
となりました。
しかし、「定年延長」と「継続雇用」は、意味が違うので注意が必要です。
どのような違いがあるのですか? 定年延長は、何となく分かるのですが。
まず、「65歳までの雇用確保」については、「定年を65歳」にする事ではありません。高年齢者雇用安定法では、「定年は60歳以上」という規定があります。ですから、企業としては、定年は60歳として、本人が希望すれば、65歳までは「再雇用」できるようにしているのです。
実は、定年と再雇用には大きな違いがあります。定年は延長すれば、給料を下げる事が、労働契約法で原則禁止されています。
ところが、再雇用であれば、60歳定年でいったん退職させ、再雇用(非正規)すれば、給与を大幅に引き下げられるんです。そうなれば、60歳で年収は激減する事になります。
実際、厚労省が発表した令和5年の調査によると、301人以上の企業で、定年を65歳とする企業は16.5%です。
それでは、これまでとあまり変わらない感じがしますね。継続雇用となっても、シニアの収入は増えないのですね。
と言っても、シニア投資家も、働きながら投資が出来れば、かなりゆとりを持った生活が出来ると思いますし、心身に問題が無いのであれば、そうすべきかなと思います。
ちなみに、先の厚労省の調査において、調査した全企業における常用労働者数(期間を定めずに雇用されている人)、約3,525万人のうち、60歳以上の常用労働者数は約486万人で13.8%を占めています。
また、年齢階級別に見ると、60~64歳が約262万人、65~69歳が約130万人、70歳以上が約93万人と言う事で、シニアの労働者は、今後更に増加すると思います。