2,000万では足りないが、1億も必要?
①将来どれくらいお金が必要なのか
令和元年に金融庁が試算した「老後2,000万円問題」は、当時大きな論争となりました。勿論、家族形態や住宅ローン等の負債状況にもよりますが、管理人(夫婦だけの世帯で負債がない)の場合、株の購入費は別として、2022年10月から2023年9月までの1年間の総支出は、8,165,688円でした。この1年間は、車検や複数の葬儀、旅行等の大きな支出が重なり多かったですが、通常は、年間約420万から480万といった所で、月額にすると約35万から40万の範囲です。当然、月額20万で生活できる家庭もあるし、50万では不足する家庭もあると思いますが、仮に平均月額が35万円で老人ホームに入居する事なく、65歳から90歳までの25年間で必要なのは、1億500万円になります。
②公的年金の収入はどれくらいか
大半の人は公的年金が主な収入源となりますが、一つ言える事は「年金制度は、現役時の収入や生活レベルを保証するものではない」と言う事です。公的年金は、夫が会社員、妻が専業主婦として平均的な額は約22万円です。これに所得税、社会保険料や介護保険料等で約10%がかかりますから、約20万円となり、65歳から90歳までの25年間で受け取る年金額は約6,000万円(自営業の人は約2,000万円)となります。
③どれくらいあれば安心なのか
上記①、②の場合、月の平均支出が約35万円の世帯は4,500万円不足します。約30万の支出世帯では3,000万円不足、約25万の支出でも1,500万円不足します。しかも、葬儀や突然の老人ホーム入居、医療費等、めったに起こらない事への出費に備え、ある程度の現金は預貯金で置いておく事を考えれば、老後は4,000万から5,000万あれば、安心して生活できると思います。
④不足分をどうするのか
退職金や預貯金、投資等の資産運用で不足分を補う事になりますが、一番良いのは、65歳を過ぎても、働く機会と場所、体力があれば働いて収入を得る事が大切です。総務省によると、65歳以上の就業者数は912万人で、就業者総数に占める高齢就業者の割合は13.6%となり、これは就業者の7人に1人が65歳以上ということになります。このうち自営業者や会社役員を除く「雇用者」は529万人で、パート・アルバイト等の非正規が76.4%との事です。国は企業の努力義務として、70歳までの定年引き上げや再雇用を含む継続雇用制度の導入などを求めています。公的年金制度は、2000年の法改正で60歳から65歳に引き上げられました。近い将来、70歳に引き上げられる改正があるかも知れません。