PBR1倍割れは割安と言えますが、それだけで飛びつかない
今年になって「PBR1倍割れ」の話が良く出ていますが、どう言う事なんですか?
まずPBRとは、株価が1株あたり純資産の何倍になっているかを見る指標なんだ。つまり、PBR(倍)=株価÷1株あたり純資産で計算し、教科書的には、PBRが低い(1倍に近い)銘柄は割安、高い銘柄は割高と言える。管理人のようにバリュー株投資をメインにしている投資家は、投資判断の指標の一つにしている。
では、PBRが1倍を切っていると言う事は、割安だから良いと思うけど、何が問題なんですか?
先ほど、PBRは株価を1株あたりの純資産で割ると説明したけど、純資産がわかれば理解しやすい。純資産は会社の正味の財産を指し、仮に会社が何らかの事情でやめる場合に、株主に分配される原資となる。つまり会社の財産が、事業で成長して何倍に増えるかを示した指標がPBRとも言える。そのPBRが1倍を割れていると言う事は、「その会社は成長する余地がない」とも判断され、このまま事業を継続しても、会社の財産が減少するだけと判断され、会社を清算した方が損が小さく済むと考えられる。だから、企業価値はPBRだけでは判断できないけれど、PBR1倍割れの企業は「上場企業としては失格」と言われても仕方がない面がある。
難しいですね。でも大企業と言われる所でも、1倍を切っているところはあるんですよね。
あるどころか、2023年3月の時点で、東証プライムの約半数、スタンダードの約6割が1倍を切っていたと言われており、東京証券取引所は、資本収益性や成長性といった観点で問題があると判断し、3月31日付けで「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等に関するお願いについて」と言う文書を出し、方針・目標としてPBR1倍に言及したんだ。
東証が3月に文書を発出して、PBRは改善されたんですか?
実は、投資家としてはここが問題なんだ。確かに自社株買いなどでPBRは改善されつつある。3月以降、個人投資家はPBR1倍以下で銘柄をスクリーニングしたりネット情報で購入している事から、PBR1倍割れの銘柄が買われ過ぎている感が否めない。大事な事は、PBRを含めて投資指標は、業種によって検討する必要があり、初心者がネット情報を鵜呑みにし、単にPBRだけに注目して投資する事はお勧めしない。
ちなみに、ドラゴンさんはPBR1倍割れの銘柄は、どれ位持っているんですか?
日本株は約60銘柄持っているけど、今でも約半数がPBR1倍割れです。理由は、金融系の銘柄が多い事と、昔から主としてPERとPBRに注目して投資していた事からです。先ほども書きましたが、PBR1倍割れの株が過熱気味になっている事から、管理人としては、有難い事に持ち株の株価が上昇しており、これで配当金が増加すれば言う事はありません。ただ初心者の方は、ネット情報を鵜呑みにせず、現在過熱気味にあるPBRだけで飛びつくのは、慎重に判断した方が良いと思います。