株式投資にも「パレートの法則」が当てはまるのか
①パレートの法則とは
イタリアの経済学者が提唱した法則で、「世の中の2割が社会全体の富の8割を保有し、8割の低所得者層は、社会全体の富の2割しか占めていない。」というもの。8割や2割といったキーワードから、「8:2の法則」と呼ばれ、例として「会社利益の8割は、全従業員の2割で構成される」、「売上の8割は、全顧客の2割で構成される」「納税額の8割は、対象住民の2割の富裕層が負っている」等と言われています。
②株式投資におけるパレートの法則
株式投資の世界においても、パレートの法則は存在すると言われています。8対2という数字ではないですが、例えば日経平均株価やS&P500は、一部の銘柄が全体の結果を左右している事は周知の事実ですし、投資家で有名なバフェット氏も、「例えば500銘柄の株を保有すれば、利益のほとんどは10銘柄である」と言われています。
③日本の株式投資家
日本における株式投資人口は、約1,851万人(2023年6月)と言われています。この数字には、デイトレーダーから長期保有する投資家まで含まれています。仮に、パレートの法則を日本の株式投資家に当てはめると、2割の大勝ちしている投資家は、約370万人となります。株式投資において、勝ちに不思議の勝ちはあると思いますが、負けに不思議の負けはないと思います。管理人の知人で、含み益がなかなか出ず、文句を言う投資家がいますが、その多くは「感情的」な性格です。根拠のないネット情報に振り回されて投資し、含み損が出ていても、熱くなって損切りせず、逆に含み益が出れば、すぐに利確する。これでは利益は出ません。
④株式投資は、本当に8割が勝てないのか
金融庁が2021年に公表した「安定的な資産形成に向けた金融事業者の取組み状況」では、株式投資は対象としていませんが、「投資信託を購入した7割の顧客が損をしている」という結果になっています。また、日本証券業協会の調査結果によると、これも株式だけの結果はありませんが、2021年の有価証券(株式、投資信託、公社債)の売買損益は、売買しなかった人(32.1%)を除き、損益ゼロが23%、50万未満の損が9%、それ以上の損が7.8%でした。ただ、売却益が出た人も36.5%が50万未満であり、100万以上の売却益が出た人は23.8%でした。株式投資において、8割が勝てないという根拠や調査結果は出ていませんし、売却しなくても、配当金生活者のように、配当金が数百万円以上入る投資家は多々います。ネット情報に振り回されることなく、コツコツと資産を増やしてください。