個人投資家は、まず中間階級を目指そう

投資
スポンサーリンク

1億総中流は昔の話

①昔は総中流、今は格差社会、今後は階級社会
 高度成長期における1958年に内閣府が実施した「国民生活に関する世論調査」において、自分の生活程度が「中の上」から「中の下」と回答した人が7割を超え、1960年代半ばまでには8割を超え、1970年代後半には9割の国民が中流であると回答し、「総中流」が定着したと言われています。しかし1980年代に入った頃には格差が浮き彫りとなってきて、1990年代のバブル崩壊、更には2020年1月から始まった新型コロナの影響により、「格差社会」がクローズアップされるようになりました。しかし今後は格差が更に拡大し、「階級社会」になると言う人もいます。

②日本は貧困国家になった
 OECD(経済協力開発機構)が、加盟国を中心とする世界各国の相対的貧困率を発表しており、日本は7番目となっています。G7の中では最悪の貧困率であり、先進国の中でも貧困率が高い国となっています。相対的貧困率とは、「同じ国や地域の人と相対的に比較して、収入・資産が少なく、生活も厳しく不安定な状態」の割合です。その時代のその社会に属している大半の人が持っている物が持てず、大半の人が出来ている事が出来ない状態と言えます。

③日本における格差の実態
 金融広報中央委員会が発表した、令和4年各年代別の金融資産保有額(貯蓄額)を見ると、経済格差が顕著になっている事が分かります。貯蓄額を平均値と中央値で発表していますが、平均値と中央値の乖離が大きいほど、格差が大きい事になります。次のデータは二人以上世帯のものですが、20代は平均値214万・中央値44万で、金融資産非保有者の割合は35.7%、30代は平均値526万・中央値200万で、金融資産非保有者は23.9%、40代は平均値825万・中央値250万で、金融資産非保有者は26.1%、50代は平均値1,253万・中央値350万で、金融資産非保有者は24.4%、60代は平均値1,819万・中央値700万で、金融資産非保有者は20.8%、70代は平均値1,905万・中央値800万で、金融資産非保有者は18.7%となっています。なお、各年代とも単身世帯の場合は、中央値が50万から75万の間であり、格差は更に広がっています。他人事ながら老後が心配です。

④個人投資家は、まずは中間階級を目指そう
 現在の日本において、2極化は「貧困層と富裕層」ではなく、「貧困層と中間層」の2極化が現実的だと思われます。以前「個人投資家としてのプライド」でも書きましたが、金融資産が1億円を超える個人投資家は沢山いると思いますが、金融資産が1億円を超えた程度で、金融資産が数十億を超える「上流階級」の人達の生活が出来るわけではなく、金融資産1億円程度では、「中間階級」かなと思っています。格差社会は、今後益々拡大し、大半の国民が貧困層に転落すると言われていますが、個人投資家の皆さんに言える事は、早い年代から金融資産を蓄え、とりあえず中間階級(中間層)以上を目指すべきだと思います。