65歳で1億円は安泰?

配当金生活
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ローンがなく、施設に入居しなければ安泰です

①年収700万円の生活
 会社員が65歳で定年退職した場合、退職時の年収が700万円であれば、税金や社会保険料を差し引いた可処分所得は、約525万円です。
 単純なシミュレーションですが、会社員の世帯に5,000万円の金融資産があり、金融資産の運用利回りが2%、夫婦の年金受給額が265万円とした場合、退職時と同様の525万円で老後の生活を続けると、89歳の時点で資産は底をつきます。しかし6,500万円あれば、ギリギリ100歳まで維持する事が出来ます。
 定年退職時に金融資産が1億円あり、ローンがなく、有料老人ホームに入居しなければ、現役時代と比較しても、かなり質の高い、贅沢な生活が送れる事になります。
 

②FIRE民の罠
 65歳で1億円あれば、残りの人生は安泰と言えますが、40歳代でFIREした人は注意が必要です。よく、「運用利回り4%で生活」と言う人がいますが、今後50年先まで4%の利回りが継続すると思っているのでしょうか?そんな保証は全くありません。
 ちなみに、JPXの資料によると、有配会社(東証一部、プライム市場)の平均利回りは、1990年から2010年が大体1%台、2011年以降に2%台(2024年7月2.22%)になっています。
 仮に40歳の時に金融資産1億円でFIREした場合、運用利回りが2%で年間400万円で生活を続ければ、65歳の時点で資産は約5,000万円と半減します。
 「1億円」という金額は、莫大な金額に思えますが、漫然とした支出が積み重なれば、使い切ることは簡単ですし、老後を考える上で欠かせないのが、不測の事故や病気です。
 更に介護の問題も避けては通れません。介護費用は、公的な介護保険だけで賄えることは少なく、想定以上にお金がかかる事がほとんどです。自分はさておき、親や配偶者がどのような水準の施設やサービスを望むのか、その費用面も含めて具体的に考えておくべきです。
 また、若くしてFIREした人は、賃貸生活が多いと思います。生涯独身ならいざ知らず、これも自分の価値観はさておき、配偶者や子供がどのような考えでいるのかを、よく考えておく必要があるのではないでしょうか。

③評価額は当てにならない
 2024年8月の大暴落を経験して分かりますが、株などのリスク資産の評価額が、例え1億円あったとしても、10%下がれば9,000万円、これが数日続けば評価額は半分近くになります。今回の大暴落では、あまり日数をかけずに株価は元に戻りそうですが、2007年のリーマンショックでは、6か月間下落が続いて約50%減少し、回復するのに約5年かかりました。
 株は「長期保有」が原則です。しかし、株価の下落はいつまで続くのか、誰にも分かりませんし、株価が戻るかどうかも分かりません。仮にこのような経験を70歳代のシニアが経験すると、おそらく長期保有は出来ないと思います。