投資家の資産は把握されている

配当金生活
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政府はマイナンバーで把握しています

 政府は、医療保険の負担割合に、金融所得の上乗せを検討していると言ってましたが、どう言う事ですか?

 75歳以上の高齢者を対象に、給与や年金の所得に、金融所得を上乗せして、保険料や窓口負担を算定する事を検討しています。
 医療費の負担は、原則として70~74歳は2割、75歳以上は1割となっていますが、70歳以上でも年収383万円(単身)など、現役並みの所得があれば、69歳以下と同様に3割負担となるのです。

 なぜ、金融資産が関係するのですか?

 現在、確定申告をしなければ、株式の配当所得などは算定されません。
 75歳以上の多くは、年金収入だけの人が多いと思います。厚生年金の受給額は、年間約200万円と言われており、これでは「現役並み所得」とは言えない事から、医療費負担は1割です。
 ところが、配当所得が190万円以上あれば、年金+金融所得で390万円以上」となり、医療費負担は3割になるのです。

でも、政府に個人の金融所得が分かるのですか?

 はい、政府(国税庁)は、証券会社から情報を集めるシステム構築を準備しており、少なくとも株式投資に関係する金融資産は、マイナンバー制度で把握できているのです。

そうですか。では、個人の貯蓄額まで把握されているのですか?

 政府(国税局)が把握しているのは、取引情報や所得です。全国の国税局と税務署をネットワークでつなぎ、情報を管理する「国税総合管理(KSK)システム」により、金融機関の口座状況(預金残高・入出金履歴など)を把握し、一定額以上の取引は、金融機関が税務署に報告するのです。
 また、証券口座の取引履歴や残高も報告され、KSKシステムにより、お金や資産が動いた時点で、情報は自動的に蓄積され、把握できるのです。
 当然、KSKシステムは、マイナンバーと密接に連携している事から、個人単位での資産情報は、正確・迅速に把握されているのです。

 KSKシステムも、2026年中には次世代システムの「KSK2」に移行され、氏名やマイナンバーを入力するだけで、法人税・所得税・消費税など、複数の税目にまたがる情報を一元的に確認できるようになります。

 個人投資家の多くは、配当所得を分離課税にして、住民税などを低くしていると思いますが、住民税は大丈夫なのですか?

 当面、影響があるのは、75歳以上の個人投資家に対する医療費負担ですが、今後、金融所得に対する課税強化の可能性は十分考えられます。
 と言うのも、現在は、配当所得が数千万円あり、金融資産が数億円あっても、他に収入がなければ「住民税非課税世帯」になる可能性があり、国民保険料の減額や医療費の減免と言った優遇措置が受けられるのです。

 本来、住民税非課税世帯の優遇措置は、生活が苦しい人の制度ですが、「この恩恵を金融所得や資産が多い人が受けるのは如何なものか」と言う声が強くなっており、政府内でも検討する声があるのです。
 ですから、FIREを検討している投資家などは、今後の政府の動きに注意しておく事が大切です。