約4割が負債保有世帯です
①負債額の実態
総務省の家計調査 (令和5年)によると、二人以上世帯における負債保有世帯の割合は、39.3%と約4割であり、負債の平均値は655万円で前年より130万円増加しており、中央値は1,422万円となっています。 負債の約9割を占めるのは、住宅・土地の負債で601万円(前年比+75万円)となっており、負債保有世帯の割合は40~49歳の世帯が68%と最も高く、40歳以上の世帯では年齢階級が高くなるに従って低くなっています。
②貯蓄額と負債額
二人以上世帯における貯蓄額の平均値は1,904万円で前年より3万円の増加となっており、中央値は1,107万円となっています。
世帯主の年齢別に純貯蓄額(貯蓄額-負債額)を見ると、50歳以上の各年齢層では、貯蓄額が負債額を上回っており、70歳以上の純貯蓄額は、2,425万円と最も多くなっています。
一方で、50歳未満の世帯では、負債額が貯蓄額を上回っており、負債超過となっています。
③住宅ローンの平均借入額と返済額
国交省の住宅市場動向調査(令和4年)によると、住宅を購入した世帯のうち、住宅ローンを利用しているのは、新築注文住宅で83.2%、分譲戸建住宅では64.9%の世帯となっており、中古の戸建住宅や集合住宅(マンション)を購入した世帯では、5~6割が利用しています。
新築住宅購入時の住宅ローンの平均借入額は3,000万円~4,000万円が多く、具体的には、注文住宅で平均3,772万円、分譲戸建住宅で平均3,054万円となっています。
平均年間返済額は、注文住宅が174万円で最も高く、次いで分譲集合住宅が148万円、最も低いのが中古集合住宅の101万円となっており、返済期間は30年~35年が多くなっています。
④持ち家と賃貸はどちらが良いのか
「持ち家か賃貸か」は永遠のテーマであると言われています。ただ、人生100年時代になり、「長い老後を考えた場合、賃貸より持ち家の方が良い」と言う評論家が多い気がします。
国交省の住宅市場動向調査(2020年)によると、家賃の平均は7万6千円となっています。年金生活者にとって、将来的に年金はあまり上がりませんが、家賃は上がる事を考えると、家賃の支出が重荷になる事は想像できますし、「賃貸のメリットは、ライフスタイルに合わせて自由に住居を変える事が出来る」と言われますが、高齢者が簡単に住居を変える気になるかと言えば、難しいと思っています。
高齢者の生活にとって大事なのは「現金」です。「持ち家か賃貸か」は、純貯蓄額(貯蓄額-負債額)が50歳代でプラスになり、退職金を投資資金に回す事が出来るのであれば、住宅ローンを組んで持ち家を購入するのも良いかと思いますが、そうで無いのなら、賃貸にする方が良いかも知れません。