シニア投資家は、投資から預貯金へ
最近「2025年問題」と言う言葉をよく聞きますが、どう言う事なんですか?
「団塊の世代」と言う言葉を聞いた事があると思いますが、戦後の第1次ベビーブーム(1947~49年)に生まれた人達が、全て75歳以上の後期高齢者になり、全人口に占める高齢者(65歳以上)の割合が30%を超え、超高齢化社会になります。
超高齢化社会になる事で起きる様々な問題の総称を「2025年問題」と言います。
超高齢化社会になって問題となりそうなのは「年金」ですか?
それもありますが、医療・介護など社会保障費の増大が大きな問題と言われています。
その額は1990年の47.4兆円から2020年には126.8兆円、2025年に145兆円、更に2040年には、190兆円まで増加すると予想されており、その抑制が喫緊の課題となっています。
社会保障制度は見直されるんですか?
まず5年に1度の「年金改革」が2025年にあります。現在検討されているのは、
①国民年金の加入期間5年延長
②厚生年金の基礎年金の拠出期間5年延長
③厚生年金の対象拡大(パート・アルバイトも適用)
などですが、詳細は省略します。
これまでは、団塊の世代の人達が中心となって高齢者を支えてきたのですが、今後は団塊の世代の人達を、少子化で減った若者が支えなければなりません。しかし、とても無理ですよね。
政府としては、何か対策はあるのですか?
すでに政府も手を打っています。まず、高齢者に対しては、「元気で働き続けて下さいね」と言う事で、年金を貰いながら働ける高齢者のために、「在職老齢年金制度」を見直し、働いても年金がカットされにくいように見直しています。
それと、75歳以上が加入する「後期高齢者医療制度」については、一定の所得のある高齢者に、「現役並みに所得がある人は、医療費を少し負担して下さいね」と言う事で、医療費自己負担を1割から2割へと引き上げました。
実は「新NISA」もそうです。若者などの現役世代に対し、「これからは貯蓄から投資ですよ」と政府がアピールし、「新NISAで投資の税金を免除するから、資産を増やして下さいね。そして超高齢化社会を支えて下さいね。それと、自分の老後は自分で何とかして下さいね。」と言うのが、政府の現役世代に対する本音だと思います。
また、シニア投資家などの富裕層に対しては、「富裕層にも新NISAで税金を免除しますよ、その代わり、保有資産に対しては税金を上げますね。」と言うのが、役人の思惑かと思います。
なるほど、いかにもドラゴンさんらしい解釈ですね。2025年問題は、個人投資家にとっても影響はありそうですね。
野村総合研究所の調査によると、団塊世代で株式などの投資をしている人は、45%と約半数を占めており、投資をしている人の約6割は、80歳位まで投資を続けたいと思っています。
しかし、「投資の割合を増やしたい」と思っている人は約17%であり、半数以上の人は、「投資の割合を減らしたい」と考えています。
つまり、「投資は続けるけど、投資の資産は減らしていきますよ」という感じで、今後、現役世代は「貯蓄から投資へ」のかけ声で、資金は投資へとシフトしますが、保有資産額が多い団塊世代をはじめ、シニア世代の資金は、逆に投資から預貯金へ流れていくと見られています。
なぜシニア投資家は、投資から預貯金へとシフトするのですか?
これは管理人も実感していますが、配当金と年金で生活が出来ているのなら、投資額を現状以上に増やす必要は無いのです。老後の生活を充実させ、楽しく余生を過ごすには、手元に現金がある方が便利なのです。
また、金融資産があるシニアは、単身者や夫婦のみ世帯が多く、介護や医療付きで支援してくれる「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」に住む割合が増加しており、入所のための現金が必要になってくるのです。
と言う事は、今後はそう言った施設を運営している会社や、預貯金が増える金融機関の業績が上がるという事ですか?
そう見ている投資家はいますし、関連する銘柄も多くあります。
2025年問題は、個人投資家にとっても無関係では無いのです。