FIREは早期退職がゴールではない
①なぜFIREを目指すのか
FIREがブームとなったのは、アメリカのソフトエンジニア夫婦のブログと言われています。
夫婦は30歳の時、20万ドルの家を購入し、60万ドルの資産を形成した時に仕事を辞めます。ブログでは、「60万ドルの資産を利回り4%で運用すれば、働かなくても日々の生活費が捻出できる」と書かれており、このライフスタイルが共感や憧れを呼び、日本でも「FIREブーム」が起こりました。
そもそも日本人は、「仕事=苦痛」と感じる人が多く、米ギャラップの調査によると、「仕事にやり甲斐を感じる」人は、日本人は5%であり、145か国で最下位との事です。
この事から、日本人は「仕事の苦痛」から抜け出したいと思っている人が多く、FIREを目指す人が多いと言われています。
②FIREは「負け組」と言う人
「FIREは負け組」と言う人は、「会社や組織では、色々な競争がある。しかし早期退職者は、そういう競争社会から退散した負け犬である。働いている人より偉くもないし、まして憧れる存在ではない」と言う趣旨が多いです。
確かに資産も無く、単に競争社会から退散するのであれば、ただの「負け犬」ですが、早期退職を念頭に、1億円近く資産形成する事は、「勝ち組」ではありませんが、「負け組」とまでは言えないと思います。
なぜ「勝ち組」では無いかと言うと、退職理由が「競争社会からの退散」であり、その言い訳として「経済的自立」を目指しているからです。
FIREを冷視する人が多いのは、「FIREした人が、必要以上に『すごい事』として発信し、自慢する人が多い」からだと思っています。特にサイドFIREなんて、言葉は格好が良いかも知れませんが、平たく言えば、「脱サラしたアルバイト組」です。
FIREすれば、「社会的信用と肩書き」を失います。いくら億を超える金融資産があっても、クレジットカードや住宅ローンの審査には通りにくくなります。
堂々と「FIREした」と宣言するのであれば、完全なFIREをした人が言うべきであり、中途半端なFIREで情報発信するため、冷ややかな目で見られるのだと思います。
③FIRE後に何をするか
FIREで得られるものは、何と言っても「自由な時間」です。FIREする人は、「若い時、元気な時にやりたい事をするのが大事」と言います。 ではFIREした人は、自由な時間で、本当にやりたかった事を楽しんでいるのでしょうか?
管理人の知人で、不動産収入があり、早期退職した人を数人知っています。彼らは「嫁さんと旅行する」とか「毎日釣りに行く」と言って退職し、キャンピングカーをオーダーしたり、漁船を購入した人もいました。確かに海外旅行に行った時の写真も見せてもらいましたし、旅行や釣りに誘われた事もありました。
しかし残念ながら、早期退職した人は、「自分は自由で時間があっても、友達が働いるから一緒に遊べない」のです。管理人も数回、旅行や釣りに誘われましたが、仕事が忙しく一緒に行けませんでした。聞くところによると、先の知人達は家族の反対により、早々にキャンピングカーや漁船を手放したと言う事です。
④FIREで「勝ち組」と言われる人
FIREは、会社を早期退職した時がゴールでは無く、会社を辞めた時が、FIREの新たなスタートラインです。ですから早期退職しただけでFIREしたと自慢している人は、単なる競争社会からの逃避組です。まして、1億円程度の金融資産でFIREするのは、悠々自適のセカンドライフは、ほど遠いと思っています。
FIREで「勝ち組」と言えるのは、パーティーが出来る自宅と数億以上の金融資産を保有し、早期退職の目的が、「自分や家族と趣味や娯楽を共に出来る友人と一緒に、悠遊自適のセカンドライフを楽しむ事」だと言えます。
「悠遊自適」のセカンドライフを楽しむ為には、何より人間関係が大事です。仕事をすると、自分の意思にかかわらず、人間関係は広がってきます。つまり、会社を通じて出会う先輩や同僚、後輩が財産になるのです。 ですから、早期退職する人は、おそらく退職後も人間関係の構築は難しく、セカンドライフを楽しむ事は難しいのでは無いかと思います。
「数億の資産」と「悠遊自適のセカンドライフの構想」を持った人達が、そもそもFIREすべき人達であり、彼らこそが「勝ち組」と言えると思います。
しかし、管理人が知る「超富裕層」は、仕事をしながらセカンドライフを楽しんでいます。管理人家族も、一緒に海外旅行に誘われますが、残念ながら管理人には、豪華客船で海外旅行を楽しむ余裕は現在の所ありませんので、丁寧にお断りしており、お土産ばかり頂いています。