そもそも1億円程度で富裕層とは言えない
①FIREを卒業する人
FIREする人は、「生活費を月25万円程度に抑え、持ち家があって、教育費などの大きな支出がなく、趣味や娯楽は控える生活」であれば、可能だと判断します。
しかし実際には、1億円でスタートしたFIREが破綻してしまうケースが数多く報告され、2022年後半には「FIRE卒業」というキーワードがXでトレンド入りし、一度早期リタイアした人が再び働き始める現象が注目されました。
②年間生活費は増加する
当所、月25万円で生活できていても、10年後、20年後も同じ生活水準は維持出来ません。特に深刻なのがインフレの影響で、年間3%程度の物価上昇が続けば、20年後の生活費は、現在の2倍近くになってしまいます。
家族構成の変化も大きな要因で、子供の教育費は想定以上にかかり、私立大学の場合は年間150万円以上、医学部なら年間500万円を超えるケースもあります。 また、親の介護が必要になった場合、月々の介護費用の平均は約9万円で、平均介護期間は約4年7カ月で、総額約500万円が必要になります。
③1億円は昔のゴールドカード
最近のインフレで1億円は大金ではなくなり、投資家の目標というより、単なる通過点の中途半端な金額になってしまいました。つまり、今の1億円はゴールドカードと同じで、昔はハードルが高かったけど、今はそこそこの年収で、持てるような存在になってしまいました。
今でも「億り人」などと自慢する人もいますが、もはや1億円では、都心のそこそこの広さの中古マンションすら買えません。 また賃貸にしても、家賃が上がっていて、50万円くらい出さないと、家族全員で都心には住めず、年収1,000万円程度では、都心ではまともな暮らしができなくなってきています。
④FIREは3億で考える
金融資産が1億と2億では、大きな違いがあります。1億円では、生活費によって約20年で枯渇する可能性がありますが、2億円あれば、平均的な支出であれば、生涯生活できる見込みがあります。
ただし、2億円という金額があっても、月50万円の支出を続けた場合、資産は約33年で底をつく計算になりますが、3億円あれば、ゆとりある生活や早期のリタイア、将来の不確実性(インフレや病気など)に対する備えがより強固になります。
現代においてFIREを考えるのであれば、50歳以上であれば2億円、それ以下であれば3億円の金融資産で考えるものかと思います。

