個人投資家の終活

配当金生活
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株で家族に迷惑をかけない

 人生100年時代で、シニア投資家の人も増えていると思いますが、個人投資家の方が亡くなった場合、保有していた株は相続できるんですか?
 銀行預金を相続するのであれば、口座を解約して預金の払い戻しを受けると思うのですが、株はどのようにするんですか?

 投資仲間の懇親会でよく出る話題です。まず、大半が上場株式だと思うので、それに絞ってお話しします。結論を先に言うと、相続する人の口座へ移管してもらい相続します。
 上場株の相続は、手続きはシンプルなのですが、そのための条件がいくつかあり、個人投資家が終活をするに当たり、きちんと相続の事を考えていないと、相続人が面倒な事になります。

 まず、移管する為には、相続する配偶者等が、被相続人となる個人投資家と、同じ金融機関に口座を持つ事が必要になります。ですから、個人投資家が5個の金融機関に口座を開いていると、移管するためには相続する人も5個の口座を作らないといけません。
 同じ証券会社に口座がない場合は、新規に口座を開設する必要がありますが、これは結構面倒です。また、NISA口座の資産は、課税口座へ移管される事になります。

 NISA口座へは引き継げないんですね。それでドラゴンさんの奥さんは、ドラゴンさんが使っているSBI証券に変更したんですね。
 ところで、株価は毎日変動しますが、亡くなった日の株価で評価されるんですか?

 上場株式の評価を分かりやすく説明すると
 ①課税時期(分かりやすく死亡日とします)の終値
 ②死亡月  の毎日の終値の平均
 ③死亡前月 の毎日の終値の平均
 ④死亡前々月の毎日の終値の平均
の、いずれか最も低い価額で評価します。
 あと、課税額としては、配当金についても忘れてはいけません。もし配当を受け取る権利が確定する「配当基準日」に被相続人が生きていた場合は、配当支払日には亡くなっていても、すでに権利が発生しているので相続財産に含まれます。

結構面倒いですね、これらはどうやって調べるのですか?

 ほとんどの証券会社は「相続に関するサイト」を開設してるので、そこで必要な書類等を確認して手続きします。具体的には、死亡日など課税時期の「残高証明書」を取得する事になります。

 以上の事は、証券会社が判明している場合であり、判明していない場合はもう少し面倒です。株式を預けている証券会社がわからない場合には「証券保管振替機構」に問い合わせ、どこの証券会社と取引があるのか調べる必要があります。
 証券保管振替機構とは、証券を預かって管理している機関であり、開示請求書に必要事項を記入して、必要書類とともに郵送し、取引情報が記載された資料を郵送してもらう事となります。

 手続き的には、何となく分かりました。ドラゴンさん方は、奥さんがしっかりしているので良いですが、普通の投資家の方は、きちんと分かるようにしておかないと、残された人が大変ですね。

 人生100年時代と言っても、全員が100歳でコロッと死ぬわけではありません。個人投資家の終活としては、出来るだけ証券口座数を減らし、家族に迷惑がかからないよう、あらかじめ移管手順を文書化しておくと良いかも知れません。