株式分割の恩恵

配当金生活
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株式分割する企業が増えています

 このところ、株式分割をする企業が増えていると聞いたけど、何か理由があるんですか?

 実は、日本取引所グループ(JPX)の規程(有価証券上場規程445条)で、「投資単位が50万円未満となるよう、当該水準への移行及びその維持に努めるものとする。」とある事から、投資単位が50万円以上の上場企業に対し、投資単位の引き下げの検討要請を行っており、株式分割を行う企業が増加傾向にあります。

 多くの企業は、売買単位を100株とているから、1株5,000円を超える企業が該当するのですね。そもそも、売買単位はなぜ100株なんですか?

 日本は「単元株制度」を採用しており、2018年10月1日から、上場企業の1単元は100株に統一されています。
(有価証券上場規程第427条の2)

規程で決まっているのなら仕方ないけど、株式分割をすれば、何かメリットはあるのですか?

 株式分割は、発行済みの株式を、より多くの株式に分割する事で、これにより、株式の数量が増え、一株当たりの価格が下がります。
 分割によって、株式の価格が低くなり、新たに株主となる投資家が増えるため、株主数の増加も期待でき、企業の資金調達や株式の流動性の向上にも役立ちます。

 株を保有している投資家も、株数が増えて良いと思いますが、どうなんでしょう。

 その通りで、1株あたりの配当の変更がなければ、株主は株式分割によって新たに取得した株式数分だけ、受け取る配当が増える事になります。
 企業にとっても、配当金額を変更せず、配当増額の代替として株主に利益を還元する事ができるのです。

 株式分割のデメリットはありますか?

 1株あたりの価格が安くなるため、短期的な利益を追求する投資家が増加し、株価の急激な下落につながる可能性があります。
 また、株式の数が増えると、株主名簿の管理や株主総会の運営等にかかるコストが増加します。

 投資家にとってのデメリットはありますか?

 株式分割が整数倍でない場合、単元未満株が発生し、市場で売れない場合が出てきます。管理人の経験では、2019年に「ジョリーパスタ」が「ゼンショー」の完全子会社になった時、ジョリーパスタ1に対し、ゼンショー0.8の割合でした。 つまり、ジョリーパスタを100株持っていた人は、ゼンショーの株が80株になったのです。

 株式分割が増加している背景には、新NISAが大きく関係していると言われています。個人投資家がより株式を買いやすくなるよう株式分割に踏み切る企業が増え、150社以上の企業が、2023年中に基準日を設けて株式分割を実施しました。
 2024年も、株式分割の動きは続いており、ソフトバンクが10分割を行うなど、大型銘柄が株式分割を実行・予定しています。